抄録
症例は92歳,女性。便秘を主訴に近医受診。腸閉塞の診断で当院紹介入院しイレウス管による減圧を開始した。イレウス管挿入後11日目のイレウス管造影にて横行結腸の狭窄像を認めた。同日に排ガス・排便がないにもかかわらずイレウス管の排液量が減少し,性状も血性に変化した。横行結腸癌による腸閉塞の術前診断で手術施行。開腹所見で横行結腸に手拳大の腫瘤を触知し周囲に腹膜播種結節を認めた。またTreitz靱帯より100cmの部位から40cmにわたって順行性三筒性の腸重積を認めた。イレウス管は重積部を通過しており,先端は重積部より60cm肛門側にあった。重積は用手整復不能であり小腸部分切除,回腸瘻造設術を施行した。切除標本で腸重積の誘因となるような器質的疾患は認めなかった。イレウス管を誘因として腸重積が発症することがあり,イレウス管の排液量や性状に急激な変化を生じた時は重積の発症を念頭において迅速な検索を行う必要があると考えられた。