抄録
症例は54歳,男性。腹痛,嘔吐にて来院した。上部消化管造影にて胃穹隆部から体部にかけ,表面不整な巨大隆起性病変を認め,胃内視鏡検査にて胃体部大彎側後壁寄りにSMT様隆起を認めた。CT,超音波検査にて,左上腹部に内部不均一な腫瘤を認めた。また,大腸内視鏡検査,注腸検査にて,直腸癌(Rs部)を認めた。以上の所見より胃原発の腹腔内腫瘍および直腸癌の診断にて,胃全摘・膵体尾部・脾臓・横行結腸合併切除,低位前方切除施行した。病理組織検査にて胃潰瘍穿通に起因する胃壁外性肉芽腫+直腸癌と診断された。本症例のように腹腔内巨大腫瘤として発見される胃肉芽腫は非常に稀で術前診断が難しい疾患であるが,鑑別診断の一つとして念頭において治療に臨むべきであると考えられた。