日本外科系連合学会誌
Online ISSN : 1882-9112
Print ISSN : 0385-7883
ISSN-L : 0385-7883
症例報告
食道癌術後挙上空腸の長い虚血性狭窄に対してカバードステントを挿入してQOLの改善を認めた1例
鈴木 修司梶 理史原田 信比古鈴木 衛
著者情報
キーワード: 空腸, 虚血性狭窄, ステント
ジャーナル フリー

2009 年 34 巻 1 号 p. 37-41

詳細
抄録

 症例は49歳,男性.1カ月前からの空腹時心窩部痛,左背部痛を主訴に当院受診.精査にて多発食道癌,胃癌,多発リンパ節転移の診断で,術前化学療法として5-FU,CDDPによる化学療法を施行した.化学療法1コース後手術は右開胸開腹胸部食道亜全摘,胃全摘,縦隔内食道空腸Roux-en Y吻合を施行した.病理では胃の病変は食道癌のリンパ節転移の胃浸潤であった.術後一時食物通過障害認めたが,退院となった.退院後7日後から食物通過障害症状再燃し,再入院となった.食道透視検査にて吻合部肛門側の空腸の長い範囲の狭窄を認めた.内視鏡検査では吻合部肛門側の空腸が全周性に粘膜脱落,狭窄を認めた.内視鏡下ブジーを2回施行したが,症状の改善なく,カバードステントを挿入した.これにより食事摂取が可能となった.その後腹膜播種となって5カ月後死亡したが,それまでステントの開存が確認され,食事摂取が可能であり,良好なQOLを認めた.

著者関連情報
© 2009 日本外科系連合学会
前の記事 次の記事
feedback
Top