日本外科系連合学会誌
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症例報告
嚢胞変性を示し診断が困難であった胃GISTの1例
星野 真人志田 敦男瀧 徹哉二川 康郎藤岡 秀一保谷 芳行岡本 友好矢永 勝彦
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キーワード: GIST, 嚢胞, 膵嚢胞性腫瘍
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2009 年 34 巻 1 号 p. 46-50

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抄録

 症例は78歳,男性.既往歴および家族歴は特記すべき事項は認めなかった.2007年8月に健康診断の上部消化管内視鏡検査にて胃体上部に壁外性の圧排を認め,腹部CTにて胃体上部大彎側と膵尾部に接するように直径5.0×7.0cmの嚢胞性腫瘤を認めるも無症状のため経過観察していた.12月初旬上腹部圧迫感出現し,当院外科紹介受診となった.腹部造影CTにて胃体上部後壁および膵体尾部の間に直径12×10cmの境界明瞭で内部構造一部充実性の嚢胞性腫瘤を認めた.MRIでも同様の所見であった.以上より膵原発の嚢胞性病変もしくは胃原発の間葉系腫瘍の診断で手術を施行した.開腹所見で胃原発の間葉系腫瘍と診断し,脾臓摘出および胃部分切除術を施行した.病理所見においてc-KITおよびCD34は陽性でありGISTと診断した.術後経過は良好で第20病日に退院した.嚢胞化したGISTは予後不良なことが多く,早期の摘出が望ましいと考えられた.

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© 2009 日本外科系連合学会
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