2009 年 34 巻 1 号 p. 67-71
症例は24歳,男性.吐下血が出現し,当院内科を受診,上部内視鏡検査にて十二指腸球部前壁に出血性腫瘍を認め,入院となった.CT,エコーでは腫瘍を同定できず,MRIでは1.5cm大の腫瘍を認め,拡散強調像が腫瘍性病変の同定に有用であった.超音波内視鏡では腫瘍内血流の豊富な腫瘍を認め,十二指腸GISTと診断した.手術は術中内視鏡併用の腹腔鏡下十二指腸局所切除術(完全鏡視下)を施行した.免疫組織学的所見では,c-kit,CD34が陽性,SMA,S100,クロモグラニンAは陰性であり,GIST, uncommitted typeと診断した.大きさが2cm以下であり,mitosisもほとんどみられず極低危険群と診断した.術後経過は極めて良好であり,腹腔鏡下手術が有用であったと考えられた.