日本外科系連合学会誌
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症例報告
機能的端々吻合術後に吻合部再発をきたしたS状結腸癌の1例
荒瀬 光一平田 敬治中山 善文永田 直幹山口 幸二
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2009 年 34 巻 1 号 p. 91-95

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抄録

 機能的端々吻合(functional end-to-end anastomosis;FEEA)術後に吻合部再発をきたしたS状結腸癌の1例を経験したので報告する.症例は85歳,女性,2006年5月S状結腸癌に対しFEEAを用いたS状結腸切除術を施行した(S, 1型, 30×20 mm,mp,n0,H0,P0,M0:stage I ).術後13カ月後に下血を認め,下部消化管内視鏡検査およびCT検査で吻合部に隆起性病変を認めた.2007年9月初回手術時の吻合部を含めた直腸S状結腸切除術を施行した.病理組織検査では,吻合部を中心に発育する初回手術時と同様の中分化型腺癌がみられ,吻合部再発と診断した.直腸癌手術時には吻合部再発予防として器械吻合前の腸管内洗浄が一般的であるが,結腸癌に対するFEEAでも腫瘍細胞のimplantation予防のため,吻合前に腸管内の清拭などの予防策が必要と思われる.

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© 2009 日本外科系連合学会
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