日本外科系連合学会誌
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症例報告
全身気腫を呈したESD後の医原性直腸穿通の1例
斉藤 光徳
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2009 年 34 巻 1 号 p. 96-99

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抄録

 症例は72歳,男性.LST型の直腸腫瘍に対しESD目的に入院した.内視鏡的にアプローチを開始したが,粘膜下層の剥離困難にて断念した.翌日,下腹部痛のほか前胸部の疼痛を訴え触診すると,体幹部の広範囲に握雪感を触れ,CT検査では陰嚢から後腹膜,腹壁,胸壁,縦隔,頸部に至るまでの全身に気腫を呈していた.直腸壁は浮腫性肥厚と炎症性変化を伴っており,血液検査では炎症反応の上昇を認め,また発熱も生じたため,緊急手術を施行した.腫瘍は直腸Ra後壁に位置しており,気腫はESDの剥離操作により後腹膜へ穿通し,そこから送気により全身に拡がったものと判断した.手術は腫瘍と穿通部を含む直腸部分切除とし,一期的吻合を行った.一方,全身気腫は保存的に治療した.

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© 2009 日本外科系連合学会
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