抄録
症例は19歳,男性.腹部殴打による上腹部痛を主訴に救急搬送された.来院直後の腹部CTでII型膵損傷(表在性損傷)およびII型肝損傷と診断し入院経過観察とした.受傷8時間後のCTでダグラス窩に腹水貯留と十二指腸周囲にfluid collectionが出現し,腹膜刺激徴候も認めたため,肝損傷および膵損傷による腹膜炎と判断し緊急手術を施行した.術中所見で膵臓が完全断裂(IIIb型膵損傷)していたため,Letton-Wilson手術を行った.術後に腹腔内膿瘍を認めるも穿刺ドレナージ術のみで軽快し退院となった.IIIb型膵損傷に対しては,様々な術式が考案されており,患者の全身状態などを考慮し選択されている.今回われわれは,緊急手術中にIIIb型膵損傷と診断した症例にLetton-Wilson手術を施行したので報告する.