日本外科系連合学会誌
Online ISSN : 1882-9112
Print ISSN : 0385-7883
ISSN-L : 0385-7883
症例報告
弓部大動脈瘤を合併した進行食道癌の1切除例
藤川 寛人利野 靖長谷川 慎一佐藤 勉山本 直人湯川 寛夫大島 貴吉川 貴己井元 清隆益田 宗孝
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 38 巻 5 号 p. 984-989

詳細
抄録

症例は68歳,男性.嚥下時のつかえ感を主訴に精査を行い,胸部下部食道に全周性の2型扁平上皮癌を認めた.進行度はcT3 cN2 cM0 cStageⅢであった.胸腹部造影CTを施行した際,未治療の弓部大動脈瘤(径40mm,囊状瘤)を認めた.経鼻経管チューブで栄養管理を開始後,動脈瘤に対しステントグラフト内挿術を施行した.術前化学療法としてFP療法(5FU 600mg/m2,CDDP 60mg/m2)を開始したが,Grade3の下痢・腎機能障害を認め1サイクルで終了.胸部下部食道切除・後縦隔胃管再建・腸瘻造設術を施行した.術中所見で大動脈周囲の強固な癒着のためNo.106recL・106tbLの郭清は行わなかった.術中および術後合併症は認めず,術後15日で退院した.病理組織結果はpT3 pN1(1/29)pM0 StageⅢで化学療法の組織学的効果判定はGrade 1aであった.

著者関連情報
© 2013 日本外科系連合学会
前の記事 次の記事
feedback
Top