抄録
症例は72歳男性.既往歴は糖尿病,50歳難治性肺炎.便潜血陽性にて当院紹介.下部消化管内視鏡検査にて上行結腸に隆起性病変認め,生検にてGroup 4.単純CTにて肝内に淡い石灰化伴う占拠性病変を4カ所,No.201,202リンパ節の腫脹を認め,造影MRIにて肝に多発性の低信号腫瘤を認め,肝転移の診断.大腸癌同時性多発性肝転移の術前診断で右半結腸切除+肝転移巣のラジオ波焼灼の方針となった.術中迅速診断にて原発巣は粘膜内癌,No.202リンパ節は乾酪壊死性結節であり,肝S8を試験切除したが陳旧性乾酪壊死であったため,他の肝結節の焼灼は中止とした.永久標本でも同様の診断であった.術後1年経過した現在肝病変に変化を認めない.乾酪壊死は肝結核でよく認められる所見であるが,画像上は肝転移巣との鑑別が困難である.肝腫瘍を伴う消化管癌症例で本疾患の可能性を既往歴や臨床所見から考えた場合は,術中迅速診断で鑑別診断することが治療方針の決定の上で重要である.