抄録
右胃大網動脈グラフトによる冠動脈バイパス術後の膵頭十二指腸切除術を経験したので報告する.症例は67歳,男性.1年前に陳旧性心筋梗塞を発症し3枝病変に対して当院心臓血管外科で右胃大網動脈グラフトによる冠動脈バイパス術が施行された.術後経過観察で腹部造影CTを撮像したところ,肝内胆管の拡張を指摘され,当科紹介となった.下部胆管癌の診断で,胃十二指腸動脈,右胃大網動脈による亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した.術中,グラフトの血流はドップラーで確認しつつ,グラフトの背側で胃空腸吻合を行った結果,グラフト血流低下を防ぎ得た.術後もグラフトの血流は良好であった.術後膵液瘻が発生したが,保存的治療で改善し,術後34日目に退院となった.