抄録
症例は78歳,女性.胆囊結石,胆囊ポリープの診断で腹腔鏡下胆囊摘出術を施行した.高度な脊柱後側彎症を伴っており,全身麻酔下でも伸展は困難な状況であった.右肋骨と近接する骨盤による狭い体外でのworking spaceのため従来式のポート配置は困難であり,手術は臍部マルチポートデバイスを用いた腹腔鏡下胆囊摘出術を施行した.腹腔内のworking spaceも狭く,低位肋骨弓により胆囊は確認出来ない状況であったが,肝円索を体外より牽引挙上し,肋骨弓下にポートを追加して把持鉗子を用いて胆囊底部を把持すると同時に低位肋骨弓も挙上することで視野を確保した.腹腔内のworking spaceは制限されたが,臍部マルチポートから操作を行うことでCo-axial settingが維持でき安全に手術を施行しえた.臍部マルチポートが有効であった高度亀背例に対する腹腔鏡下胆囊摘出術の1例を経験したので報告する.