抄録
筆者は卒後33年になる脳神経外科医である.小児科の女性医師を妻として3人の子育てをしながら医師を続けてきた.また大学病院の診療科の科長として女性医師の「上司」の立場にある.所属する脳神経外科学会では男女共同参画検討委員会委員を務めている.前半では個人的歴史を記載し「共働き医師夫婦」が直面してきた問題点を記述した.後半では脳神経外科という科で女性医師のライフイベントに直面する上司としての立場,また既報されている統計データより若手医師,医学生のワークライフバランスに関する感覚と現実の乖離を指摘し,産休・育休での代員制度の確立など早急に改善すべき点を指摘した.医学部学生の女性の比率が増加するなか,喫緊の課題は多い.