抄録
諸言:術後合併症のリスクが高い胃全摘症例に対し,術後早期経腸栄養を行ってきたので,その臨床的意義を明らかにすることを目的とした.対象と方法:胃全摘術を行った201例を対象とし,拡大手術,術前化学療法,PS不良,年齢80歳以上の54例に術後早期経腸栄養を行い,末梢静脈輸液のみを行った147例と術後合併症につき比較した.結果:両群の背景因子が異なるため比較は困難であるが術後合併症発生率には差を認めなかった.術前化学療法症例に限ると,術後早期経腸栄養を行った15例は,末梢輸液のみの8例より術後肺炎の発生率が少なかった(p<0.05).PS不良例や年齢80歳以上では,術後早期経腸栄養の適否で感染性合併症率に差を認めなかった.結語:術後早期経腸栄養は,術前化学療法を行った胃全摘症例において術後肺炎の発症がなく有用と考えられた.しかし今回は背景因子が異なる検討であり,今後さらなる検討が必要である.