抄録
急性骨髄性白血病治療中の骨髄移植当日に急性虫垂炎を発症した症例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.症例は18歳,男性.急性骨髄性白血病と診断され,寛解導入療法施行後,骨髄破壊的前処置を行い骨髄移植予定であった.骨髄移植予定日に,右下腹部痛が出現し急性虫垂炎と診断された.保存的治療が奏効しない場合,予測される骨髄抑制状態では致死的な感染症を併発する可能性が危惧され,また施行予定の骨髄移植を延期することも困難であり,同日に腹腔鏡下虫垂切除術を施行,術直後に骨髄移植を施行した.術後経過は良好で,術後18日目に好中球の生着を確認し,骨髄移植後156日目に退院となった.白血病患者に発症する骨髄移植の際の外科的対応は,患者が骨髄抑制状態であるため慎重な判断が必要であるが,本症例は早急に診断,治療を行うことで骨髄移植を遂行しえた症例である.