抄録
患者は67歳,女性.婦人科検診時に下腹部に腫瘤を指摘された.血清CA125値の上昇ならびに画像検査にて骨盤内に約20cmの腫瘤を認めた.上下部消化管内視鏡検査で腫瘍性病変を認めず,術前診断としては卵巣腫瘍で矛盾がないことから婦人科にて開腹手術が施行された.開腹時トライツ靱帯から約20cmの空腸腸間膜側にダンベル型の囊胞性腫瘍を認め,くびれ部で半周性に小腸が取り巻いており,小腸GISTもしくは腸間膜腫瘍の診断のもと,同部を含む小腸部分切除術を施行した.
切除標本の病理組織学的検査にて,腫瘍は紡錘形細胞が束状に錯走する配列を呈し,空腸の固有筋層との連続性を有しており,免疫染色ではKIT陽性であった.以上より管外発育型の空腸GISTと診断した.術前診断が卵巣腫瘍で,術中術後に小腸GISTと診断された本邦報告は自験例を含め13例あり,比較的稀であると思われたため若干の文献的考察を加えて報告する.