抄録
症例は90歳代,女性.総胆管結石に対し内視鏡的乳頭切開術の施行歴あり.巨大な総胆管結石を認めていたが,高齢,認知症を考慮し截石せず保存的に経過観察とされていた.今回腹痛,発熱で当院入院となった.入院時腹部CT検査で,巨大な総胆管結石の嵌頓を認めた.保存的に加療したが,腹満出現したため再度腹部CT検査施行したところ総胆管結石は小腸内に存在しイレウスを呈していた.胆石イレウスの診断で,イレウス管を挿入した.イレウス管挿入後7日目の画像および臨床所見に改善を認めず手術の方針となった.術当日に胆石の位置確認目的に腹部CT検査を施行したところ,イレウスは改善し胆石は直腸内に認められ手術は中止となった.胆石イレウスは高齢者に発症することが多く,合併症を有し全身状態が不良なこともあり手術時期決定は困難である.今回,術当日に画像診断で観血的治療が回避できた高齢者の胆石イレウスの1例を経験したので報告する.