日本外科系連合学会誌
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症例報告
ステロイド治療中に小腸穿孔をきたしたサイトメガロウイルス腸炎の1例
山村 喜之梅本 一史鈴木 友啓加藤 航平武藤 潤中西 喜嗣吉岡 達也村川 力彦大竹 節之大野 耕一
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2015 年 40 巻 4 号 p. 747-752

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抄録
症例は69歳女性.多発筋炎のため当院神経内科通院中でプレドニン10mg内服していた.腹痛にて当院救急外来受診しCTでfree airを認めた.上部消化管穿孔を疑い審査腹腔鏡を施行した.腹腔内を観察したところ,回腸に穿孔部を認め,その肛門側10cmに壁の発赤を認めた.発赤部位も含めて20cmの回腸を切除した.切除標本では穿孔部と発赤部位で全周性の輪状潰瘍を認めステロイドに起因した潰瘍が疑われた.病理組織学的には明らかな巨細胞性核内封入体は認められなかったが,サイトメガロウイルス(CMV)免疫染色で潰瘍部に一致して多数の陽性細胞が検出され,CMV感染に起因した小腸穿孔と診断された.
CMV感染による消化管穿孔は稀であり,背景として免疫不全患者に発症するため,その予後は不良である.
今回われわれはサイトメガロウイルス腸炎による小腸穿孔の1例を経験したので報告する.
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© 2015 日本外科系連合学会
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