日本外科系連合学会誌
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症例報告
多発肝転移を伴い,進行S状結腸癌に重複した回腸神経内分泌腫瘍の1例
太田 嶺人佐藤 耕一郎阿部 隆之武藤 亮山口 正明
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2015 年 40 巻 4 号 p. 758-763

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抄録

症例は60歳女性.近医で施行された腹部超音波検査で肝腫瘍を指摘され,精査目的で当院紹介となった.腹部CTで多発肝腫瘍の他,上行結腸の壁肥厚と近傍のリンパ節腫脹を認め,上行結腸癌の多発肝転移と診断した.下部消化管内視鏡検査では盲腸の粘膜隆起性病変に加え,進行S状結腸癌を認めた.以上より,S状結腸癌切除と回盲部腫瘍の術中精査のため開腹手術となった.術中所見で回腸末端部に腫瘤を認め回盲部切除術,およびS状結腸切除術を施行した.病理診断は,S状結腸は低分化型腺癌,回盲部腫瘍はNeuroendcrine tumor(以下,NET)の診断であった.術後の生化学検査でセロトニン高値であり,肝転移はNETが原発と考えられた.退院後は他院にてラジオ波焼灼療法を施行し,現在は,結腸癌術後および,NETに対して化学療法中である.NETの同時性重複癌症例の報告は少なく,若干の文献学的考察を加え報告する.

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© 2015 日本外科系連合学会
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