日本外科系連合学会誌
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症例報告
術前診断し,単孔式腹腔鏡補助下に治療しえたMeckel憩室炎の1例
丹羽 真佐夫林 昌俊栃井 航也小久保 健太郎高橋 啓
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2015 年 40 巻 6 号 p. 1107-1112

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抄録
症例は45歳の男性.夜間より右下腹部痛を認めたため近医受診し,腹部CT検査で小腸腫瘍が疑われ当院紹介受診した.来院時,右下腹部に圧痛と反跳痛を認め,腹部CT検査でMeckel憩室を疑う囊胞状陰影とその周囲の脂肪織濃度上昇を認めた.99mTcシンチではCTで認めた囊胞状陰影の部位に一致して淡い集積を示したため,Meckel憩室と異所性胃粘膜の存在が疑われた.以上よりMeckel憩室炎の診断で,単孔式腹腔鏡を用い緊急手術を施行した.腹腔内を観察すると,大網に被覆され腫大したMeckel憩室を認め,先端には白苔が付着していた.憩室切除術を施行した.病理組織学的検査では,高度なびらんや炎症細胞浸潤を認め,上皮の再生性変化を認めた.Meckel憩室に典型的な異所性胃粘膜像や膵組織像は認めなかった.Meckel憩室はMDCTで診断可能であり,術前診断することにより単孔式腹腔鏡手術を行うことができた.
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© 2015 日本外科系連合学会
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