抄録
大腸に発生した神経鞘腫の2例を経験したので報告する.症例1は78歳女性.食思不振を主訴に受診し,腹部超音波検査で右下腹部に45mm大の腫瘤を認めた.下部消化管内視鏡検査で上行結腸に粘膜下腫瘍を認め,回盲部切除を施行した.病理組織学的検査で粘膜下層に被膜を有する腫瘤性病変を認め,紡錘型腫瘍細胞の束状の増殖,核の錯綜配列を認めた.免疫染色で神経鞘腫と診断した.症例2は88歳男性.腹痛を主訴に受診し,造影CTで直腸S状部に壁肥厚,その口側のS状結腸に造影不良を認め,直腸癌に伴う閉塞性腸炎および腸管虚血と診断した.また,S状結腸に造影効果を伴う12mm大の腫瘤を認めた.緊急でハルトマン手術を施行した.病理組織学的検査で直腸癌およびS状結腸神経鞘腫と診断した.大腸に発生した神経鞘腫は稀であり,大腸癌と同時に見つかった大腸神経鞘腫の報告はない.大腸神経鞘腫について若干の文献的考察を加えて報告する.