2016 年 41 巻 5 号 p. 880-884
腰ヘルニアは,上腰三角(Grynfelt三角)あるいは下腰三角(Petit三角)と呼ばれる腰背部の解剖学的脆弱部位に発症する稀なヘルニアである.今回,非常に稀な両側上腰ヘルニアに右大腿ヘルニアを合併した1例を経験したので報告する.症例は60歳代の女性で,右腰背部膨隆を主訴に受診し,CTで両側上腰ヘルニアと右大腿ヘルニアと診断した.手術は全身麻酔下,腹臥位で開始した.第12肋骨下縁を皮切し,広背筋を開排するとヘルニア内容である腎周囲後腹膜脂肪組織が膨出した.ヘルニア門は第12肋骨,下後鋸筋下縁,仙棘筋,内腹斜筋後縁で構成されており,上腰ヘルニアと診断した.light-weightのpolypropylene meshを用いたtension-free修復術を施行した.仰臥位に体位変換し,右大腿ヘルニア根治術を施行した.術後9カ月経過し,再発徴候は認めていない.