2018 年 43 巻 2 号 p. 247-252
十二指腸乳頭部癌に肝転移伴った場合,従来予後不良とされ,非切除因子の一つである.
症例は55歳の女性で,検診発見の十二指腸乳頭部の腺腫のフォロー中に,CA19-9上昇を認めた.精査で肝S5に5cm大の腫瘍を認め,開腹肝部分切除(S5)を施行した.病理結果は転移性肝腫瘍(腺癌)が疑われ,原発巣の検索を行い,十二指腸乳頭部の腺腫の一部癌化を認めた.
初回手術2カ月後に膵頭十二指腸切除術を行い.病理結果はSM,N0,H1 Stage Ⅳ(胆道癌取扱い規約第5版)であり,TS-1による補助化学療法を開始した.
膵頭十二指腸切除術後6カ月後に3箇所の肝転移疑われたが,化学療法(CPT-11+CDDP)により画像上CRとなった.初回手術2年4カ月後にS5,初回手術5年4カ月後にS3,初回手術8年8カ月後にS5に再発したが,肝外病変の合併を認めないこと,いずれも単発であったことから肝切除を積極的に行い,初回手術含めて4回の肝切除術を行った.
現在,初回手術から13年4カ月無再発生存中である.