2018 年 43 巻 4 号 p. 654-658
症例は65歳女性.肛門からの腸管脱出を主訴に救急外来を受診.約10cmの腸管脱出を認め,先端に3cm大の1型腫瘍を認めた.外来にて用手的に肛門内に還納したのち,腹部CT検査でS状結腸癌の腸重積を認め,内視鏡的に整復した.整復後は腫瘍からの出血は認めなかった.リンパ節転移や遠隔転移はなかった.手術は待機的に腹腔鏡下S状結腸切除,D3郭清を行った.腫瘍は病理組織学的には漿膜下層まで浸潤する高分化型腺癌であった.S状結腸癌が肛門外へ脱出した腸重積症例は比較的稀である.腸重積から肛門外脱出をきたすS状結腸癌は周囲臓器への浸潤がなく,S状結腸が長いことが予想され,腹腔鏡手術の良い適応と考えられた.