2019 年 44 巻 1 号 p. 43-48
症例は65歳,男性.下血を主訴に来院し,精査加療目的に入院となった.上部消化管内視鏡検査,下部消化管内視鏡検査では出血源となる病変を認めなかったが,腹部造影CT検査で腹腔内に3cm大の造影効果を伴う腫瘤を認めた.カプセル内視鏡で単発の小腸粘膜下腫瘍と診断され,腹腔鏡補助下回腸部分切除術を施行した.5ポートで手術を開始し腹腔内を観察すると,小腸の拡張および左下腹部の小腸に重積を認めた.同部に腫瘍を触知し,体外操作にて部分切除した.手術時間は2時間51分,出血量は少量であった.術後経過良好で第9病日に退院した.病理組織検査で神経内分泌腫瘍(G1)と診断された.リンパ節転移は陽性であった.術後3年10カ月が経過した現在も再発なく外来フォロー中である.
小腸神経内分泌腫瘍は15~35%の症例で多発病変が認められると報告されており,多発病変の有無の確認に術前のカプセル内視鏡が有用であった.