2019 年 44 巻 1 号 p. 96-102
症例は67歳,女性.心電図検査で異常を指摘され,冠動脈CT検査で偶発的に腹腔内腫瘤を指摘された.腹部造影CT検査で左横隔膜下面・脾臓前面・肝外側区域背側に接し,径80mmの造影効果を認める境界明瞭で内部均一な腫瘤を認めた.腹部造影MRI検査で,T1強調でlow,T2強調でhigh,Gd系一般造影剤で造影される内部均一の腫瘤を認めた.上部消化管内視鏡検査で胃穹窿部の前壁に正常粘膜に覆われた,やや急峻な立ち上がりの隆起を認めた.以上より肝外発育型肝腫瘍あるいは壁外発育型胃粘膜下腫瘍と診断し,手術に臨んだ.手術所見では,肝外側区域の下面から肝外へ突出する径80mmの巨大腫瘤を認め,術中迅速病理検査で肝細胞癌と診断されたため,肝外側区域切除術を施行した.肝外側区域に発生した巨大な腫瘍では,肝外発育型肝腫瘍および壁外発育型胃粘膜下腫瘍の可能性があることを念頭に置き診療を行うことが重要と考えられた.