2019 年 44 巻 2 号 p. 223-230
症例は63歳の女性で,貧血を主訴に精査したところ,十二指腸下行脚のVater乳頭対側に5×2.5cm大の粘膜下腫瘍を認めた.GIST(Gastrointestinal Stromal Tumor)を疑い局所切除術を施行した.術前同部の欠損が半周以上になると判断し,術前より空腸漿膜パッチを加えて修復する予定とした.病理所見は低リスクのGISTであった.術後経過は良好で,変形や狭窄は認められなかった.また,術後上部消化管内視鏡検査では粘膜の再生の経過も追うことが可能であった.術後29カ月経過しているが,再発は認められていない.腫瘍径が大きい十二指腸GISTに対し部分切除術のみでは術後狭窄を起こしうる.本症例のように部分切除術に空腸漿膜パッチを追加することにより,機能温存や術後狭窄などの合併症を回避する面からも有用であると考えられた.本症例に関して若干の文献的考察を加え報告する.