2019 年 44 巻 2 号 p. 217-222
症例は75歳女性.数年前より急性胃拡張による嘔吐,腹痛で入退院を繰り返しており,今回も同様の症状で入院した.CTで胃拡張を認め,胃前庭部が頭側に挙上し,胃底部が尾側に偏位していた.胃管挿入後,症状が改善し食事を開始したが,腹満が出現した.胃管を再度挿入すると血性の内容物を認め,上部内視鏡検査で,胃軸偏位と穹窿部に出血を認めクリッピングにて止血した.胃軸偏位は内視鏡にて整復できず,手術を施行した.開腹すると,肝十二指腸間膜欠損を認め,十二指腸が固定されていなかった.また,大網裂孔を認め,胃体部が大網裂孔に入り込んでいた.胃を整復した後に,噴門形成術を行い,十二指腸球部と後腹膜,胃大彎と腹壁を固定し,大網裂孔を縫合した.経過は良好で,再発を認めていない.肝十二指腸間膜欠損と大網裂孔が原因で発生した成人特発性胃軸捻転症を経験した.このような発症形式は過去に報告がなく,文献的考察を加えて報告する.