2019 年 44 巻 2 号 p. 291-298
症例は71歳,男性.急性膵炎発症を契機に膵精査を行い,分枝型膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)と診断した.しかし手術適応はなく,アルコール多飲歴があり,まず禁酒指導にて経過観察とした.患者は完全に禁酒していたが,4カ月後に膵炎が再発.膵炎の原因となったIPMNの治療目的に亜全胃温存膵頭十二指腸切除を施行した.術中右肝動脈を損傷し縫合止血した.術後膵液瘻を認めた.術後16日目に胸痛後に下血を認め,内視鏡検査で胃空腸吻合部潰瘍が疑われ,露出血管にクリッピングを施行した.その後3回胸痛後に下血を認め,出血源を特定できなかったが,胸痛と出血との間に関連性が疑われた.術後37日目に胸痛を訴えた直後に造影CTを行い,挙上空腸内への仮性動脈瘤穿破を疑ったため,血管造影・動脈塞栓術を行った.膵切除後の消化管出血では,仮性動脈瘤の消化管穿破も考慮すべきであり,疑った場合は積極的に血管造影を行うべきである.