日本外科系連合学会誌
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症例報告
外傷性腹壁ヘルニアの病態を呈した大腿から腹部に達する杙創の1例
平井 公也松尾 憲一
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2020 年 45 巻 1 号 p. 81-85

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抄録

症例は55歳,男性.駐車場の解体作業中に重機と共に転落し,5cm長で母指頭大の鉄筋が左大腿近位部外側から腹腔側に刺入するように受傷し,開放創を認めたため救急搬送された.受診時,左大腿近位部外側に開放創と左下腹部に限局した自発痛を認めたが,腹部に挫創や皮下出血,膨隆は認めなかった.CT検査で左腸骨に転位を伴う骨折と,破綻した腹壁から皮下への小腸脱出と腹直筋背側に微小な遊離ガス像を一箇所認めた.左腸骨開放骨折,外傷性腹壁ヘルニアおよび腸管損傷を疑い緊急手術を施行した.小腸間膜・腸管損傷と左下腹部に腹膜損傷を認め左大腿開放創との交通を確認した.損傷した小腸間膜を閉鎖し損傷腸管を修復したのちに,破綻した腹壁を結紮縫合で閉鎖した.術後リハビリテーションを施行し,第26病日に退院となった.今回われわれは,外傷性腹壁ヘルニアの病態を呈した杙創瘻孔内への腸管脱出の1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.

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© 2020 日本外科系連合学会
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