2020 年 45 巻 3 号 p. 233-237
症例は77歳の男性で腹痛を主訴に当院を受診した.外傷歴はなかった.腹部全体が硬く,腹膜刺激兆候を認めた.腹部造影CTで腹腔内遊離ガス,腹水を認めた.消化管穿孔と診断し,緊急手術を施行した.開腹時,汚染腹水を認め,回腸末端から40cm口側の腸間膜対側に15mm大の穿孔部を認めた.その他に異常所見を認めず,小腸部分切除および腹腔内洗浄ドレナージを施行した.病理組織学的所見では,穿孔部周辺の粘膜に異常を認めず,特発性小腸穿孔と診断した.また,穿孔部辺縁に限局性の筋層欠損領域を認めた.術後は合併症なく経過し,16日目に退院した.比較的稀な特発性小腸穿孔の1例を経験した.消化管穿孔の原因として,腸管筋層の部分的な欠損が報告されている.本症例においても腸管筋層欠損による腸管穿孔の可能性が示唆された.