2020 年 45 巻 3 号 p. 238-243
症例は70歳女性.SLE,高血圧の既往あり,発熱・上腹部痛を主訴に当院受診した.血液検査では炎症反応高値を認め,腹部CT検査では右側結腸の壁肥厚および辺縁血管に沿った線状石灰化あり,肝彎曲部周囲の脂肪織濃度上昇がみられた.受診時は虚血性大腸炎による急性腹症と診断し,保存的治療により症状はすみやかに軽快した.加味逍遥散の服用歴もあり,腸間膜静脈硬化症(Mesenteric Phlebosclerosis:MP)が疑われた.経過中に施行した下部消化管内視鏡検査で肝彎曲部に狭窄を認めたため,結腸右半切除を施行した.病理所見では静脈壁の線維性肥厚および石灰化,粘膜固有層の膠原線維の沈着を認めMPと確定診断した.今後は早期診断および漢方薬の適正使用により,MPにより重篤な症状に至る症例は減少するが,急性腹症の原因疾患として念頭に置く必要がある.