2020 年 45 巻 3 号 p. 244-249
症例は45歳,男性.35歳時に肛門病変が出現しクローン病(Crohnʼs Disease;以下CDと略記)の診断となった.痔瘻に対しInfliximab(以下IFXと略記)を開始するも効果が減弱しAdalimumab(以下ADAと略記)へ変更.腸管病変も増悪し腸閉塞を繰り返すようになった.3回目の入院時にイレウス管挿入となり,精査で回腸末端の狭窄および,内瘻形成を認め,手術目的で当科へ紹介となった.手術所見では回腸末端の病変が一塊となり瘻孔形成し口側腸管の器質的な拡張が認められた.回腸末端の瘻孔病変を含む回盲部切除術を行った.術中定型的にトライツ靭帯より病変がないことを視診,触診で確認しつつ,イレウス管を抜去し手術を終了した.
術後第4病日まで排便がなく嘔吐もみられるようになり,術後の腸閉塞と診断し,イレウス管を再度挿入し減圧した.腹痛などは認めないものの,排便がなく腹部膨満を認めたため腹部CT精査を行った.CT所見より,腸重積と診断し緊急手術となった.重積腸管の解除をこころみるも困難であり,約60cmの小腸部分切除を施行した.再手術後の経過は良好で第37病日に軽快退院となった.CD術後早期に腸重積を発症した稀な1例を経験したので報告する.