日本外科系連合学会誌
Online ISSN : 1882-9112
Print ISSN : 0385-7883
ISSN-L : 0385-7883
症例報告
長期保存的治療後に低位前方切除術を施行するも再発した直腸粘膜脱症候群の1例
前田 健一, 田中 千弘, 國枝 克行, 河合 雅彦, 長尾 成敏, 仁田 豊生, 杉本 琢哉, 小森 充嗣, 浅井 竜一, 林 弘賢
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 45 巻 3 号 p. 250-256

詳細
抄録

症例は66歳の女性で,10年以上前に便秘の原因検索で直腸粘膜脱症候群(mucosal prolapse syndrome;以下MPS)と診断され,保存的治療を施行してきた.しかし,徐々に隆起性病変が増大し直腸の狭窄が悪化したため,手術適応と判断した.繰り返し施行した生検では悪性所見は認められなかったが,腫瘍マーカーも基準値を超えており,直腸癌の合併が否定できず病変切除が必要と判断した.低位前方切除術(low anterior resection;以下LAR)を施行し,また虚血性腸炎の既往もあるため,縫合不全を懸念し回腸人工肛門造設術も施行した.下部消化管内視鏡検査(colonoscopy;以下CS)にて再発のなきことを確認し,LAR6カ月後に人工肛門閉鎖術を施行した.その後も保存的治療を継続していたが,CSでMPSの再発を認めた.しかし,術前ほどの隆起性病変を認めず保存的治療を継続した.LARはMPSの一時的な改善,切除による組織診断には寄与するものの根本的治療とはいえず,LAR術後も保存的治療の継続は必須と考えられた.

著者関連情報
© 2020 日本外科系連合学会
前の記事 次の記事
feedback
Top