2020 年 45 巻 4 号 p. 345-355
症例は66歳,男性.体下部3型胃癌に対して幽門側胃切除術(D2郭清)を施行.病理組織診断はL,Post,Type3,70×60mm,por2,pT4a,int,INFc,ly3,v1,pN3a(8/20),pPM0(25mm),pDM(50mm),CY0のStage ⅢCで術後補助化学療法(テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム;TS-1®)を1年間行った.Surveillanceで明らかな再発は認められなかったが,術後1年8カ月より頭痛・眩暈・嘔気・嘔吐・右眼に一過性ブラックアウト・複視の症状が出現した.頭部CT・MRIでは明らかな異常所見は認められなかったが,髄液検査を行ったところ胃癌による髄膜癌腫症の診断に至り,脳室腹腔短絡術(Ventriculo-Peritoneal Shunt;以下VPシャント)およびMethotrexate(以下MTX)髄腔内投与を開始した.症状は緩和され,職場復帰まで可能となった.髄腔内化学療法はWeekly投与で計17回施行した.胃癌の髄膜癌腫症は稀であり,極めて予後不良とされるが,頭蓋内圧亢進症状出現時より11カ月と癌性髄膜癌腫症の中では比較的長期生存が得られた1例を経験したので文献学的考察を加え報告する.