2021 年 46 巻 1 号 p. 102-109
症例は20代女性.腹痛にて前医を受診し,左横隔膜ヘルニアによる腹腔内臓器の胸腔内脱出と診断され,腹腔鏡下に手術が施行された.臓器の置換整復は行ったがヘルニア門の修復は困難であり,一旦手術を終了して当院に緊急転院した.転院時には左緊張性気胸および,腹腔内臓器の左胸腔内への再脱出・嵌頓をきたしており,経胸腹併用アプローチにて再手術を行った.横隔膜左背側にヘルニア門を認め,胃,大腸,小腸,大網,および脾臓が胸腔内へ脱出嵌頓しており,Bochdalek孔ヘルニアと診断した.脱出嵌頓臓器を還納整復し,ヘルニア門を閉鎖した.術後,嘔吐・腹痛が出現したため術後8日目に腹部造影CTを撮像し,腸回転異常症による小腸閉塞と診断した.同日,緊急開腹手術を行い,Ladd手術および腸管固定術を施行した.術後経過は良好で再々手術後17日に退院した.成人Bochdalek孔ヘルニア修復の際は,高頻度に合併する腸回転異常症に留意すべきであり,若干の文献的考察を加え検討を行った.