2021 年 46 巻 1 号 p. 72-78
症例は72歳女性.同時性腹膜転移を伴う下行結腸癌に対し結腸部分切除(D1)および化学療法(mFOLFOX6療法)を施行していた.経過中に末梢神経障害および好中球減少により,UFT®療法に変更した.原発巣切除後1年経過時に腹痛を主訴に当院受診した.血液検査ではHb低値,腫瘍マーカー高値を呈し,腹部CT検査では腹腔内出血あり,骨盤内に最大径15cmの内部構造が不均一な造影効果を伴う,辺縁不整な腫瘤性病変を認めた.転移性卵巣腫瘍による腹腔内出血が疑われ,片側付属器切除術を施行した.病理所見では卵巣内に高分化管状腺癌あり,免疫染色から大腸癌卵巣転移と確定診断した.大腸癌卵巣転移の頻度は増加傾向にあるが,腹腔内出血を合併する報告は少なく稀な病態であった.急速な増大による被膜損傷が原因であった.