2021 年 46 巻 2 号 p. 111-119
症例は59歳の女性.咳嗽を主訴に受診した.胸部造影CT検査で上縦隔に55×30mm大で境界明瞭, 内部濃度は均一に造影される腫瘍と左反回神経リンパ節(106recL)に腫大したリンパ節を認めた.PET-CT検査では腫瘍とリンパ節にFDGの集積を認めた.上部消化管内視鏡検査では胸部上部食道の狭窄を認めたが,内視鏡は通過可能で粘膜病変は認めなかった.超音波内視鏡検査では門歯から18~27cmの食道壁に連続する低エコー腫瘤を認めた.穿刺吸引細胞診を施行し紡錘形細胞の集塊を認め,免疫染色はS-100陽性,CD34・c-kit・SMA陰性であり,食道神経鞘腫と診断した.右開胸にて106recLを摘出し,迅速組織診断で悪性所見がないことを確認し,腫瘍核出術を行った.病理所見では免疫染色でS-100陽性を示し,Ki-67は約1%と低値で良性食道神経鞘腫と診断した.リンパ節腫大を伴い悪性腫瘍と鑑別を要した良性食道神経症種の1切除例を報告する.