日本外科系連合学会誌
Online ISSN : 1882-9112
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46 巻, 2 号
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症例報告
  • 西村 潤也, 櫻井 克宣, 久保 尚士, 玉森 豊, 前田 清
    2021 年 46 巻 2 号 p. 111-119
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/04/30
    ジャーナル フリー

    症例は59歳の女性.咳嗽を主訴に受診した.胸部造影CT検査で上縦隔に55×30mm大で境界明瞭, 内部濃度は均一に造影される腫瘍と左反回神経リンパ節(106recL)に腫大したリンパ節を認めた.PET-CT検査では腫瘍とリンパ節にFDGの集積を認めた.上部消化管内視鏡検査では胸部上部食道の狭窄を認めたが,内視鏡は通過可能で粘膜病変は認めなかった.超音波内視鏡検査では門歯から18~27cmの食道壁に連続する低エコー腫瘤を認めた.穿刺吸引細胞診を施行し紡錘形細胞の集塊を認め,免疫染色はS-100陽性,CD34・c-kit・SMA陰性であり,食道神経鞘腫と診断した.右開胸にて106recLを摘出し,迅速組織診断で悪性所見がないことを確認し,腫瘍核出術を行った.病理所見では免疫染色でS-100陽性を示し,Ki-67は約1%と低値で良性食道神経鞘腫と診断した.リンパ節腫大を伴い悪性腫瘍と鑑別を要した良性食道神経症種の1切除例を報告する.

  • 石崎 俊太, 黒河内 喬範, 松本 晶, 仲吉 朋子, 岡本 友好, 池上 徹, 大木 隆生
    2021 年 46 巻 2 号 p. 120-125
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/04/30
    ジャーナル フリー

    症例は63歳女性.脳梗塞の既往があり,抗血小板薬を内服していた.cStage Ⅲ食道扁平上皮癌に対し,術前補助化学療法施行後に鏡視下食道亜全摘術を施行した.術前検査時や術直前には抗血小板薬をヘパリン置換していた.術後3日目よりヘパリン持続投与を再開した.その後,ヘパリン再開後,血小板の低下,胸腔ドレーン排液量の増加を認めた.造影CTにて,腹腔動脈起始部,左総腸骨動脈,上大静脈に多発する血栓を認めた.経過およびHIT抗体陽性からヘパリン起因性血小板減少症(HIT)と診断した.ヘパリン投与を中止し,アルガトロバン投与を開始した.アルガトロバン投与開始後1週間で血小板値は正常に戻り,胸腔ドレーン量は減少,血栓の縮小傾向を認めた.その後,ワーファリン内服へ移行し術後27日で退院となった.術後3カ月のCTで多発血栓は消失し,外来経過観察中である.

  • 中村 陽二, 桑原 史郎, 高槻 光寿
    2021 年 46 巻 2 号 p. 126-132
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/04/30
    ジャーナル フリー

    症例は79歳女性.著しい心窩部痛および繰り返す嘔吐にて救急外来を受診した.精査にて約45年前の胃癌手術にて胃亜全摘・空腸パウチRoux-en-Y再建がなされており,パウチの異常拡張をきたしていた.術後長期に渡り心窩部痛・嘔吐を繰り返していることよりパウチからの排出障害と判断し,残胃・パウチ切除,Roux-en-Y再建を行った.術後1日目より飲水を開始,術後3日目より食事を開始したが特に合併症なく経過し,術後9日目に自宅退院した.術後2カ月時点の診察では,一回食事摂取量の減少はあるものの,体重減少や食後の心窩部痛・嘔吐は消失していた.胃切除後のパウチ再建にて期待したQOLが得られない場合,所謂conventionalな方法への再再建も検討すべきと考えられた.

  • 田口 大輔, 上田 正射, 池永 雅一, 谷田 司, 高 正浩, 家出 清継, 津田 雄二郎, 中島 慎介, 松山 仁, 山田 晃正
    2021 年 46 巻 2 号 p. 133-137
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/04/30
    ジャーナル フリー

    症例は19歳,女性.右下腹部痛のため,近医を受診し,急性虫垂炎を疑われ当科へ紹介された.腹部単純X線像で右下腹部に高吸収陰影を認め,腹部単純CTで虫垂根部より1cm末梢側虫垂内の輪状の高吸収陰影と,その末梢側虫垂の腫大を認めた.虫垂結石を伴う急性虫垂炎を疑い,腹腔鏡下虫垂切除術を施行した.切除標本内に14mm大の虫垂結石を認めた.術後経過は良好であり,術後2日目に退院した.虫垂結石を伴う急性虫垂炎は稀であり,穿孔や膿瘍形成のリスクが高く,重症化しやすいとされている.本症例は受診時の炎症は軽度であったが,虫垂結石を有すると考えられたことから早期に手術を行った.抗菌薬が発達した近年では保存的に軽快が得られる急性虫垂炎の症例も多いが,虫垂結石を伴う虫垂炎の場合は重症化のリスクが高く,積極的に手術を考慮する必要があると考えられる.

  • 大野 優紀, 笠原 健大, 永川 裕一, 勝又 健次, 土田 明彦, 松林 純
    2021 年 46 巻 2 号 p. 138-147
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/04/30
    ジャーナル フリー

    症例は59歳女性.十二指腸腺腫術後のサーベイランス中に便潜血陽性,CEA上昇を認めたため精査を行ったところ虫垂癌cT4N0M0 cStage Ⅱと診断し,腹腔鏡下回盲部切除術+D3郭清施行の方針となった.術中腹腔内を観察すると広範囲に腹膜播種を認めたため根治切除は困難と判断した.腹腔鏡下回盲部切除術+D2郭清を施行後に全身化学療法の方針となった.病理診断は虫垂杯細胞カルチノイド,T4a,N1b(2/7),H0,P3,M1b,pStage ⅣBであった.mFOLFOX6+Panitumumabによる全身化学療法の方針となった.オキサリプラチンによる末梢神経障害のため途中FOLFIRI+Panitumumabにレジメンを変更し,544日間化学療法を継続したが,術後620日目に腸閉塞による消化管穿孔を認め,緊急手術を施行した.以降本人希望にて化学療法を中止しBSCの方針とし,初回術後830日目に死亡した.切除不能GCCに対して本邦でPanitumumabの使用報告は1例あるが,1st lineでの使用は本症例が初であるため,その使用経験について報告する.

  • 田村 真弘, 河野 眞吾, 茂木 俊介, 本庄 薫平, 河合 雅也, 石山 隼, 杉本 起一, 髙橋 玄, 小島 豊, 坂本 一博
    2021 年 46 巻 2 号 p. 148-153
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/04/30
    ジャーナル フリー

    症例は70歳代の女性.近医で潰瘍性大腸炎のため経過観察されていた.下部消化管内視鏡検査を施行したところ,潰瘍性大腸炎は寛解期であったが上行結腸に20mm大の粘膜下腫瘍が認められ,精査加療目的に紹介となった.超音波内視鏡検査では第4層に20mm大の均一な低エコー領域が認められた.造影CT検査では20mm大の造影効果のある腫瘤陰影を上行結腸(肝彎曲部)に認めた.その他,周囲リンパ節腫大や遠隔転移は認められなかった.上行結腸粘膜下腫瘍の鑑別としてGIST,平滑筋腫,神経鞘腫,神経内分泌腫瘍などを考慮し,腹腔鏡下結腸楔状切除術を施行した.術中迅速診断では神経鞘腫の診断で,悪性所見は認められなかった.術後の病理検査では,紡錘形細胞の増殖を認め,免疫染色ではc-kit陰性,CD34陰性,SMA陰性,S-100蛋白陽性であり,最終的に上行結腸神経鞘腫と診断した.大腸原発の神経鞘腫は極めて稀であり,本疾患について若干の文献的考察を加えて報告する.

  • 谷口 竜太, 皆川 紀剛, 鬼塚 幸治, 坂本 吉隆
    2021 年 46 巻 2 号 p. 154-159
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/04/30
    ジャーナル フリー

    完全内臓逆位を有する84歳,女性.便潜血陽性で当科紹介.下部消化管内視鏡精査の結果,SD junctionに1/3周性の2型病変を認めた.完全内臓逆位を伴ったS状結腸癌の診断で,腹腔鏡下S状結腸切除術を施行.術前の3D-CTで支配血管と癌との位置関係を確認し,さらに器械やモニターの配置や術者,助手,看護師の立ち位置を真逆とし手術開始した.腹腔内は広範囲に高度な癒着を認め,その癒着剝離に難渋し,手術時間416分と要したが,開腹移行や術後合併症なく経過良好だった.完全内臓逆位を伴った大腸癌の腹腔鏡手術は26例の報告がある.いずれも過度な手術時間の延長や術後合併症の報告もなく経過良好だった.本症例でも過去の報告同様に手術セッティングを通常と逆で行った.術中は鏡面構造を常に意識する必要はあるが,解剖の同定を誤ることなく慎重な手術操作や術野の確保に留意すれば,血管処理においても,右手操作で通常通りの安全な手術が可能と考える.

  • 増田 剛, 堀 武治, 谷 直樹, 崎村 千恵, 天道 正成, 仲田 文造, 石川 哲郎, 平川 弘聖
    2021 年 46 巻 2 号 p. 160-164
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/04/30
    ジャーナル フリー

    患者は71歳,男性.13年前に左鼠径ヘルニアにてメッシュによるヘルニア修復術を施行された.検診での便潜血陽性のため近医にて大腸内視鏡検査を施行したところ,S状結腸に2型腫瘍を疑う隆起性病変を認め,S状結腸癌疑いにて精査加療目的に当院紹介となった.当院にて大腸内視鏡検査を2度施行し,2回とも生検にて肉芽組織との結果であり異形細胞は検出されなかった.腹部CT検査では左鼠径部腹壁からS状結腸に連続する軟部陰影を認め,左鼠径ヘルニアの手術既往があることから,メッシュによるS状結腸穿通と診断し,腹腔鏡下S状結腸切除術とメッシュ部分除去を行った.術後経過は良好で術後11日目に退院し,その後はヘルニアの再発は認めず経過している.メッシュの感染症状を伴わない鼠径ヘルニア術後のメッシュによる消化管穿孔・穿通の報告は稀であり文献的考察を加え報告する.

  • 中澤 幸久, 榊原 巧, 池田 耕介, 田邉 綾, 西川 恵理
    2021 年 46 巻 2 号 p. 165-176
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/04/30
    ジャーナル フリー

    Sister Mary Joseph’s nodule(転移性臍癌,SMJN)の2例を経験した.症例1は33歳の女性.臍腫瘤を主訴に当院受診し,約2週間の経過観察後,造影CTなどにて精査を行った.上行結腸癌の臍転移と診断され,同時に多発肝転移,大動脈周囲リンパ節転移も認められた.原発巣と臍転移巣に対する手術適応はなく,まず化学療法が行われ,一次治療にて,効果はStable Disease(SD)であった.一次治療後に,臍転移巣の疼痛の悪化もあり,原発巣・臍部・卵巣切除術が行われた.その後化学療法を継続し,発症から1年7カ月で死亡した.症例2は83歳の女性.臍腫瘤を主訴に当院受診した.造影CTにて高度な肝転移を伴う局所進行膵尾部癌と診断された.化学療法を行うも,発症から5カ月で死亡した.SMJNは予後不良な徴候とされるが,臍腫瘤の診断に当たっては,常に本疾患を念頭に置くことが重要であると考えられた.

  • 白井 雄史, 佐藤 拓也, 山下 由紀, 吉田 一成, 梁 英樹
    2021 年 46 巻 2 号 p. 177-182
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/04/30
    ジャーナル フリー

    症例は52歳の男性で,臍部からの出血や排膿を認め,精査目的に当院を受診した.上行結腸癌,多発リンパ節転移,多発肝転移,腹膜播種,臍転移と診断し化学療法を開始した.徐々に臍転移は増大し,化学療法開始後19カ月頃から臍周囲の皮膚障害が出現した.臍周囲の皮膚障害は疼痛を伴い,オピオイド徐放性製剤を開始した.また,浸出液が増量し悪臭を認めたため,メトロニダゾール軟膏を塗布したところ悪臭は改善したが,浸出液は減少しなかった.皮膚障害は改善することなく死亡直前には臍中心に腹部前面を広範囲に覆うまでに伸展した.

    大腸癌化学療法により生存期間の延長が期待される一方で,臍転移に起因した皮膚障害がQuality Of Lifeを低下させる原因となることもあり,症例によっては臍転移の外科的切除の検討が必要である.

  • 佐々木 勇人, 林 桃子, 進藤 吉明, 田中 雄一
    2021 年 46 巻 2 号 p. 183-188
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/04/30
    ジャーナル フリー

    症例は36歳男性.腹部膨満を主訴に当院を紹介受診した.腹部全体に弾性硬な腫瘤を触れ,造影CT検査で腹腔内に25×23×10cmの境界明瞭な巨大な腫瘍を認めた.MRI検査では,T1WIで低信号,T2WIで不均一な高信号を呈していた.術中所見では腸間膜に腫瘍浸潤を認め,上行結腸,盲腸,回腸を合併切除して,腫瘍を摘出した.標本重量は5,800gであった.病理組織所見は,腫瘍は軽度の異型性を有する紡錘形細胞の密な増殖からなり,免疫組織学的にβ-catenin陽性で,デスモイド型線維腫症の診断であった.今回,比較的稀な巨大腸間膜デスモイド型線維腫症の1例を経験したので報告する.

  • 城崎 浩司, 櫻川 忠之, 丸山 正太郎, 内 雄介, 宇田川 大輔, 島津 元秀
    2021 年 46 巻 2 号 p. 189-194
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/04/30
    ジャーナル フリー

    症例は29歳男性.強い下腹部痛を主訴に当院へ救急搬送された.腹部CTにて臍下部腹壁直下にガスと高吸収構造物を伴った径5cm大の囊胞性病変を認め,尿膜管遺残症と診断し穿刺ドレナージ術を施行した.症状の改善が乏しく入院14日目に腹部CTを再検したところ,腹腔内に複数の膿瘍形成を認めたため緊急手術を施行した.術中所見では臍直下に径3cm大の囊胞性病変,それに連続する索状物を認めた.索状物はさらに小腸とつながっており,索状物と小腸との間には小腸憩室を認めた.囊胞と索状物,小腸憩室を切除し洗浄ドレナージ術を施行した.術中所見および術後病理組織検査結果より臍腸管遺残症と診断した.

    胎生期に卵黄囊と腸管とを結ぶ臍腸管が遺残する臍腸管遺残症は,急性腹症の原因として小児外科領域では知られている.一方で成人発症の臍腸管遺残症の報告は医学中央雑誌で検索した限りでは11例と極めて少なく稀であるため若干の文献的考察を加えて報告する.

  • 川﨑 圭史, 竹内 男
    2021 年 46 巻 2 号 p. 195-201
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/04/30
    ジャーナル フリー

    症例は16歳男性.上腹部痛を主訴に近医受診し,虫垂炎を疑われ当院救急外来紹介受診.精査の結果虫垂炎を疑う所見は認めなかったものの,造影CTにて膵頭部・十二指腸に接し石灰化を伴う7cm大の囊胞性病変を認めた.後腹膜囊胞の診断で,待機的に腹腔鏡補助下後腹膜囊胞切除術を施行した.病理組織学的には後腹膜仮性囊胞と診断された.術後約5年経過した現在も無再発で経過している.後腹膜仮性囊胞は比較的稀な疾患であるが,術前の確定診断が困難な場合が多いことより,外科切除を考慮するべき疾患である.今回,腹腔鏡補助下に切除しえた若年者の後腹膜仮性囊胞の症例を経験したので報告する.

  • Masaomi Suzuki, Hiroshi Asano, Hiroyuki Fukano, Nozomi Shinozuka
    2021 年 46 巻 2 号 p. 202-208
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/04/30
    ジャーナル フリー

    Streptococcal toxic shock-like syndrome (TSLS) is characterized by rapidly progressive shock and organ damage caused by infection with Group A Streptococcus pyogenes (GAS). Reportedly, most of the infected sites are soft tissues, such as the fascia, although a few previous reports of primary peritonitis have been made. Here, we report two cases of TSLS with primary peritonitis.

    Case 1 was a 49-year-old woman who was transported to hospital because of sudden abdominal pain. An emergency operation was performed because the patient was in shock upon arrival and showed signs of peritoneal irritation. Intraoperative findings showed no perforation or necrosis, and lavage and drainage were performed. Postoperative disseminated intravascular coagulation and renal dysfunction required intensive treatment. Streptococcus pyogenes was detected in the ascites culture 3 days after surgery, and the patient was diagnosed as having TSLS. The patientʼs general condition gradually improved, and she was discharged 21 days after the operation.

    Case 2 was a 53-year-old woman who was admitted to hospital with a chief complaint of abdominal pain and was diagnosed as having infectious gastroenteritis. Streptococcus pyogenes was detected in a blood culture obtained on the 3rd day of hospitalization. The patient continued to take antibiotics. However, on the 5th day, her consciousness deteriorated, and she developed shock; therefore, an emergency operation was performed based on a diagnosis of primary peritonitis and TSLS. No signs of perforation or necrosis were found intraoperatively, and lavage and drainage were performed to complete the surgery. The patient exhibited an immediate postoperative improvement in hemodynamics and was discharged 7 days after the surgery. In both cases, the patientʼs condition was improved by lavage and drainage, and early surgical intervention was important.

  • 菊地 拓也, 青松 直撥, 西居 孝文, 日月 亜紀子, 櫻井 克宣, 玉森 豊, 前田 清
    2021 年 46 巻 2 号 p. 209-218
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/04/30
    ジャーナル フリー

    症例は87歳女性.当院受診2週間前より上腹部の膨隆を自覚し近医受診した.身体所見から腹壁ヘルニアと診断され紹介となった.術前精査中に腹痛と上腹部膨隆を自覚され,救急外来を受診した.嵌頓が疑われたが,用手還納可能で,腹痛は速やかに消失した.腹部CTでは上腹部正中に1.5×1.5cmのヘルニア門を認め,白線ヘルニアと診断した.血流障害を疑う所見はなく,準緊急での手術の方針とした.術中,上腹部に1.5×1.8cmの筋膜欠損部を認めた.ヘルニア門は非常に小さく,単純縫合閉鎖術を施行した.術後3日目に退院し,術後約1年6カ月現在,再発なく経過している.特に既往のない非肥満体型の高齢者に生じた白線ヘルニアは稀であり,これまで報告のあった98例の白線ヘルニアの検討も加えて報告する.

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