日本外科系連合学会誌
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症例報告
食道癌術後にヘパリン起因性血小板減少症を発症した1例
石崎 俊太黒河内 喬範松本 晶仲吉 朋子岡本 友好池上 徹大木 隆生
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2021 年 46 巻 2 号 p. 120-125

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抄録

症例は63歳女性.脳梗塞の既往があり,抗血小板薬を内服していた.cStage Ⅲ食道扁平上皮癌に対し,術前補助化学療法施行後に鏡視下食道亜全摘術を施行した.術前検査時や術直前には抗血小板薬をヘパリン置換していた.術後3日目よりヘパリン持続投与を再開した.その後,ヘパリン再開後,血小板の低下,胸腔ドレーン排液量の増加を認めた.造影CTにて,腹腔動脈起始部,左総腸骨動脈,上大静脈に多発する血栓を認めた.経過およびHIT抗体陽性からヘパリン起因性血小板減少症(HIT)と診断した.ヘパリン投与を中止し,アルガトロバン投与を開始した.アルガトロバン投与開始後1週間で血小板値は正常に戻り,胸腔ドレーン量は減少,血栓の縮小傾向を認めた.その後,ワーファリン内服へ移行し術後27日で退院となった.術後3カ月のCTで多発血栓は消失し,外来経過観察中である.

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© 2021 日本外科系連合学会
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