2021 年 46 巻 4 号 p. 500-507
症例は67歳の大酒家の男性で,持続する心窩部痛を主訴に近医を受診した.血液検査および腹部超音波検査で慢性膵炎の急性増悪と診断され当院に紹介となった.胸腹部造影CTで膵体部から縦隔内に進展する膵仮性囊胞を認め,アルコール性慢性膵炎の急性増悪に伴う後腹膜・後縦隔内膵仮性囊胞と診断した.まずは保存的治療を開始し,状態が一旦改善傾向となったが,経口摂取再開後に再増悪し,内瘻化が必要と判断した.内視鏡的アプローチが困難で,また他院への搬送も難しい状態であったため,開腹下経胃的膵囊胞穿刺を行い,術後18日目に内瘻化チューブに置換し,その後治療しえた.膵仮性囊胞は慢性膵炎の合併症として知られているが,縦隔内まで進展することは比較的稀である.また,本症例のように開腹下経胃的囊胞穿刺による計画的内瘻化で治癒せしめた報告はなく,内視鏡的治療が困難な状況下での症例に対して今回の手技は有効な治療法の一つと考え報告する.