2022 年 47 巻 2 号 p. 100-106
症例は61歳の女性.つかえ感と体重減少を主訴に他院受診し,食道癌と診断され加療目的にて当科へ転院された.精査の結果,食道扁平上皮癌LtAe,cT4a(No111-横隔膜)N2M0,cStage Ⅲと診断した.併存疾患に高度な肺拡散能低下による呼吸障害と甲状腺機能低下症を認めた.全身状態改善のため内視鏡的胃瘻造設術(PEG)を施行し栄養補助を,呼吸障害に対して気管支拡張薬や抗炎症薬の投与と呼吸リハビリテーション,在宅酸素療法の導入を行った.また,甲状腺機能低下症に対しレボチロキシンNa投与し,術前化学療法として5-FU+シスプラチン+ドセタキセル療法を行い,その結果腫瘍は縮小した.手術は試験胸腔鏡下に片肺換気とし,耐術能があることを確認後,右開胸腹腔鏡補助下食道亜全摘,3領域郭清,胃管再建,頸部吻合を行った.病理所見はpT3N1M0,pStage Ⅲで化学療法の効果判定はGrade Ⅱであった.術後経過は良好で術後第49病日に退院し,その後約3年が経過したが無再発で外来通院中である.