2023 年 48 巻 2 号 p. 122-129
症例は75歳,男性.食道アカラシア術後で経過観察中であった.フォローアップの採血で貧血を認めたため消化管精査を行い,回腸末端に10mm大の粘膜下腫瘍を認めた.生検結果は小腸神経内分泌腫瘍(NET)G1であった.画像上はリンパ節転移を認めず,腹腔鏡下回盲部切除術D3郭清を施行し,術後7日目に退院となった.術後病理診断でリンパ節転移を認め,NET G1,T1N1M0 Stage Ⅲであった.小腸NETは微小な病変であってもリンパ節転移や遠隔転移をきたす頻度が高いため,腫瘍径に関わらずリンパ節郭清を伴う外科手術が必要である.今回,10mm大の小腸NETに対してD3郭清を伴う腹腔鏡手術を施行し,術後病理診断でリンパ節転移を認めた1例を経験したため,報告する.