2024 年 49 巻 2 号 p. 47-52
症例は67歳,女性.3年前に直腸癌に対してロボット支援下低位前方切除術,2年7カ月前に同時性肝転移に対して腹腔鏡下肝外側区域切除術を施行した.腹痛および嘔吐を主訴に救急外来を受診し,造影CTで左横隔膜上に造影効果の乏しい胃穹窿部の脱出を認めた.左横隔膜ヘルニア嵌頓と診断し,腹腔鏡下横隔膜ヘルニア修復術を行った.術中所見では,左横隔膜に嵌頓した胃穹窿部および約2cm大のヘルニア門を確認した.嵌頓した胃穹窿部は不可逆性の虚血が疑われ腹腔鏡下胃全摘術を行い,ヘルニア門は非吸収糸で縫合閉鎖した.医原性横隔膜ヘルニアは,嵌頓症例では重篤な経過をたどることもあるため,早期の治療介入が必要である.また,近年の鏡視下手術の普及に伴って増えてくる可能性があり,術後の合併症として念頭に置くべき疾患の一つである.