2024 年 49 巻 2 号 p. 53-59
症例は60歳,男性.吐血にて上部消化管内視鏡を施行したところ,食道胃接合部癌を指摘され紹介となった.精査にて,食道胃接合部癌 EG cType3 cT3N1M0 cStageⅢと診断した.生検による組織型は充実型低分化型腺癌,HER2は陰性であった.術前補助化学療法としてSOX療法2コース後に,噴門側胃切除術を施行した.病理組織学的診断では,食道胃接合部の粘膜から固有筋層にかけて,およびリンパ節2個に,腫瘍細胞が化学療法にて消失したと思われる変化を認め,病理学的完全奏効と診断された.進行胃癌を対象とした術前化学療法の臨床試験における病理学的完全奏効率は2~24%と報告されている.SOX療法は外来治療が可能であり,術前補助化学療法のレジメンの一つとして有用である可能性があるが,術前補助化学療法の対象およびレジメンについては現在のところ一定の見解はなく,今後の臨床試験の結果が待たれる.