低体温を用いた大動脈手術では、冷却と復温が必要であるが、温度管理方法は施設ごとに異なる。今回、人工心肺離脱後の膀胱温度の変化に着目し、影響を与える因子を検討した。2019年から2021年までに循環停止法(脳分離併用)で、大動脈瘤切除術を受けた患者を対象に膀胱温度が人工心肺離脱時から手術終了時に上昇した群をI群(387症例)、低下した群をD群(69症例)とした。評価項目は、膀胱温度は人工心肺中の最低値、人工心肺離脱時、手術終了時とし、手術時間、人工心肺時間、人工心肺中の尿量などとした。傾向スコアマッチングで調整し、69症例ずつの患者が含まれた。I群とD群で、膀胱温度は最低(24.9 vs 24.2℃)、人工心肺離脱時(34.3 vs 35.2℃)、手術終了時(35.3 vs 34.8℃)で、人工心肺中の尿量は(1.8 vs 2.7mL/kg/hr)となった。最低温度が低くなると人工心肺離脱後の膀胱温度は低下しやすく、惰性による過度な冷却は避ける必要があった。また、尿量が十分に得られている場合は、復温時の膀胱温度を過大評価している可能性があると思われた。