日本外科系連合学会誌
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腹腔鏡下肝切除における凝固止血装置の有用性について
マイクロ波凝固装置とアルゴンビームコアギュレーターの比較検討
高木 純人金子 弘真光丸 哲吉鈴木 孝雄柴 忠明継 行男山形 邦嘉
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1995 年 20 巻 4 号 p. 270-277

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抄録

われわれは腹腔鏡下肝切除 (LH) において, 切除断端の凝固止血装置としてマイクロ波凝固装置 (MTC) とアルゴンビームコアギュレーター (ABC) を使用している。本稿ではわれわれの行っている手術手技を報告し, さらに臨床経験および実験的検討によりこれら凝固止血装置の特徴と有用性を明らかにした。LH終了後, MTCでの凝固により, 創部は灰白色に変化し, 表面は湿潤しているものの凝固能は高い。実験的検討では, 径2mm程度の血管であれば確実に凝固可能であった。しかし, 広範囲の切除面に対しては凝固にやや時間を費やす。一方ABCは, oozingであれば出血点を確認しながら短時間で広範囲の凝固止血が可能であった。しかし実験的検討では, 径2mm程度の血管を凝固する事はできなかった。またMTCに比ベカメラを曇らせる事が多く, さらに連続使用にて腹腔内圧を上昇させるため, つり上げ法による視野展開が原則である。LHは手術適応を選び, これら凝固止血装置の特性を理解して使用することにより, 安全な手術手技となり得る。

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