日本外科系連合学会誌
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肝細胞癌における AFP と PIVKA-II の生物学的悪性度および予後の指標としての有用性
宇根 良衛齋木 功内野 純一
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1995 年 20 巻 4 号 p. 278-284

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抄録

肝細胞癌 (HCC) 切除例の術前の血清alpha-fetoprotein (AFP), PIVKA-II値と臨床病理学的因子および予後との関係を検索し, その有用性を検討した。HCC切除例の140例を対象とした。術前の血清AFP値の異常値を20ng/mlとすると異常値群に腫瘍再発陽性例, PCNALI≧40%のものが有意に多く, 異常値を200ng/mlとすると異常値群にHBs抗原陽性例, 組織学的分化度の高分化型以外のもの, vp陽性例, Stage II以上のものが有意に多かった。一方, 血清PIVKA-II値の異常値群にHCV抗体陽性群, vp陽性群, im 陽性群, Stage II以上の群, 腫瘍再発陽性群が有意に多かった。さらに, 絶対非治癒切除例を除く予後との関連では, 術後累積生存率は血清PIVKA-II値の異常値群で有意に不良であった。無再発生存率はAFP, PIVKA-IIともに, 異常値群の予後が有意に不良であった。以上より, HCCにおいて術前の血清AFP, PIVKA-II値はその悪性度をよく反映し, 再発予知の指標としての価値は大と思われた。

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