日本外科系連合学会誌
Online ISSN : 1882-9112
Print ISSN : 0385-7883
ISSN-L : 0385-7883
急性膵炎における単球,好中球活性酸素産生動態
丹正 勝久島 敦之会田 光宏富田 凉一黒須 康彦
著者情報
ジャーナル フリー

1995 年 20 巻 4 号 p. 285-289

詳細
抄録

急性膵炎における単球, 好中球の活性酸素産生能を検索し, 重症度との関連を検討した。対象は軽症膵炎例5例 (M群), 重症膵炎例6例 (S群) で, 健常成人12例 (C群) を対照とした。これらの症例の単球, 好中球の活性酸素産生能をPhorbol myristate acetate (PMA) 非刺激下, 刺激下で, ケミルミネッセンス法により測定した。測定値はcumulative fluorescence intensity (CFI) で表した。単球CFIは, PMA非刺激下ではC群に比しM群, S群が高値を示したが両群間に差を認めなかった。PMA刺激下では, C群に比しM群, さらにS群がより高値を示した。好中球CFIはPMA非刺激下ではS群, 刺激下ではM群のみ高値を示した。好中球CFIは死亡群が生存群に比し低値を示したが単球ではこのような差を認めなかった。以上より膵炎重症化には好中球の産生する活性酸素がより直接的に関与していると考えれるが, 重篤例ではその産生はに抑制されるものと推察された。

著者関連情報
© 日本外科系連合学会
前の記事 次の記事
feedback
Top