日本外科系連合学会誌
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脾摘が有効であったと思われる原発性骨髄線維症による脾腫の1例
鈴木 卓杉浦 有重東 永誠石丸 正寛加藤 昌弘軽部 義久須田 直史吉川 貴己小林 順弘田島 芳雄
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キーワード: 髄線維症, 脾腫, 脾摘
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1995 年 20 巻 4 号 p. 319-322

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抄録

症例は54歳の女性。約8年前から原発性骨髄線維症の診断にて, 当院血液内科において加療中であった。1994年1月頃から腹部圧迫感と全身倦怠感が出現し, 同年10月の定期検査で著明な貧血を指摘され, 11月7日精査加療目的に血液内科に入院した。入院時の血液検査所見は汎血球減少を呈し, 幼若白血球や赤芽球, 奇形赤血球の出現も認められた。腹部CT上, 巨脾を認めた。原発性骨髄線維症の脾腫による脾機能亢進症と診断し, 同年12月13日外科にて脾摘を施行した。摘出脾の重量は2150gであった。術後は腹部圧迫感などの自覚症例は消失し, 血液検査所見も改善した。原発性骨髄線維症の一般的予後は2~3年といわれ, 本症例も今後のfollow-upが重要であるが, 術後5カ月の現在では患者の満足度も得られており, 脾摘は有効であったと思われる。

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